最高裁第三小法廷(木内道祥裁判長)、公序良俗に反する無効な契約により給付を受けた金銭の返還につき,当該給付が不法原因給付に当たることを理由として拒むことは信義則上許されないとした事例(28日)

 http://r26.smp.ne.jp/u/No/309916/3fLPDcGDdO8I_11732/141028042.html 
 
 http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84582 

 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/582/084582_hanrei.pdf 

本件配当金は,関与することが禁止された無限連鎖講に該当する本件事業によって
被上告人に給付されたものであって,その仕組み上,他の会員が出えんした金銭を
原資とするものである。

そして,本件事業の会員の相当部分の者は,出えんした金銭の額に相当する金銭を
受領することができないまま破産会社の破綻により損失を受け,被害の救済を受け
ることもできずに破産債権者の多数を占めるに至っているというのである。

このような事実関係の下で,破産会社の破産管財人である上告人が,被上告人に対
して本件配当金の返還を求め,これにつき破産手続の中で損失を受けた上記会員ら
を含む破産債権者への配当を行うなど適正かつ公平な清算を図ろうとすることは,
衡平にかなうというべきである。

仮に,被上告人が破産管財人に対して本件配当金の返還を拒むことができるとする
ならば,被害者である他の会員の損失の下に被上告人が不当な利益を保持し続ける
ことを是認することになって,およそ相当であるとはいい難い。

したがって,上記の事情の下においては,被上告人が,上告人に対し,本件配当金
の給付が不法原因給付に当たることを理由としてその返還を拒むことは,信義則上
許されないと解するのが相当である。

事件番号   平成24(受)2007
事件名     不当利得返還等請求事件
裁判年月日    平成26年10月28日
法廷名     最高裁判所第三小法廷
裁判種別     判決
結果      破棄自判

原審裁判所名    東京高等裁判所
原審事件番号    平成24(ネ)1208
原審裁判年月日  平成24年6月6日

(不法原因給付)
第708条
不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。
http://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC708%E6%9D%A1