数次相続の結果,最終的に相続人が単独になった場合の登記原因証明情報

平成25年(行ウ)第372号 処分取消等請求事件
平成26年3月13日   東京地方裁判所

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84478

【判示事項】
 被相続人甲の遺産について遺産分割未了のまま他の相続人が死亡したから当該遺産全部を直接相続した旨を記載した遺産分割決定書と題する書面を添付してされた当該遺産に属する不動産に係る相続を原因とする所有権移転登記申請に対し,登記官が登記原因証明情報の提供がないとしてした却下決定が,適法とされた事例

【裁判要旨】
 被相続人甲の相続人が乙及び丙の2人であり,被相続人甲の死亡に伴う第1次相続について遺産分割未了のまま乙が死亡し,乙の死亡に伴う第2次相続における相続人が丙のみである場合において,丙が被相続人甲の遺産全部を直接相続した旨を記載した遺産分割決定書と題する書面を添付してした当該遺産に属する不動産に係る第1次相続を原因とする所有権移転登記申請については,被相続人甲の遺産は,第1次相続の開始時において,丙及び乙に遺産共有の状態で帰属し,その後,第2次相続の開始時において,その全てが丙に帰属したというべきであり,上記遺産分割決定書によって丙が被相続人甲の遺産全部を直接相続したことを形式的に審査し得るものではないから,登記官が登記原因証明情報の提供がないとして不動産登記法25条9号に基づき上記申請を却下した決定は,適法である。

20140924処分取消等請求事件

判決全文
判決全文

個人的感想など

■第3 当裁判所の判断 3(2)に『遺産分割における相続資格の併有が問題となるのは,数次相続が発生し,かつ,複数の相続人が存在している場合であり』とある。

これっていかがなものでしょうか?



■甲の共同相続人乙丙へ相続を原因とする所有権の移転の登記が未了の間に乙が死亡した場合には,丙を相続人とする遺産分割協議書又は乙の特別受益者証明書等の添付がない限り,直接甲から丙への相続による所有権の移転の登記を申請することはできない。(登記研究758 平成23.4)

■甲の死亡後,乙丙間で丙を相続人とする遺産分割協議をしたが,書面を作成せず,その旨の登記も申請しないでいたところ,乙も死亡した場合には,この内容を記載した遺産分割協議証明書を添付して,登記を申請しました(横浜地方法務局麻生出張所)。