平成26年2月25日最高裁判決 共有物分割請求事件

【裁判要旨】
 1 共同相続された委託者指図型投資信託の受益権は,相続開始
   と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない
 2 共同相続された個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相
   続分に応じて分割されることはない
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83978&hanreiKbn=02

 最高裁は,投資信託受益権は,可分給付が可能な償還金請求権及び収益分配請求権という金銭支払請求権のほか,信託財産に関する帳簿書類の閲覧又は謄写の請求権等の委託者に対する監督的機能を有する権利が規定されており,可分給付を目的とする権利でないものが含まれているとして、

 このような投資信託受益権に含まれる権利の内容及び性質に照らせば,共同相続された上記投資信託受益権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである、と判示した。

 国債についても,個人向け国債の額面金額の最低額は1万円とされ,その権利の帰属を定めることとなる社債,株式等の振替に関する法律の規定による振替口座簿の記載又は記録は,上記最低額の整数倍の金額によるものとされており,取扱機関の買取りにより行われる個人向け国債の中途換金も,上記金額を基準として行われるものと解される。
 
 そうすると,個人向け国債は,法令上,一定額をもって権利の単位が定められ,1単位未満での権利行使が予定されていないものというべきであり,このような個人向け国債の内容及び性質に照らせば,共同相続された個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである、と判示した。

共有物分割請求事

判決全文
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