婚外子相続分訴訟-最高裁が違憲判断-

平成24(ク)984 遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
破棄差戻し

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83520&hanreiKbn=02

1 民法900条4号ただし書前段の規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していた
2 本決定の違憲判断は,平成13年7月当時から本決定までの間に開始された他の相続につき,民法900条4号ただし書前段の規定を前提としてされた遺産分割審判等の裁判,遺産分割協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼさない

判決全文

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130904154932.pdf

【判決理由より抜粋】
5 結論
 以上によれば,平成13年7月▲▲日に開始したAの相続に関しては,本件規定は,憲法14条1項に違反し無効でありこれを適用することはできないというべきである。これに反する原審の前記判断は,同項の解釈を誤るものであって是認することができない。論旨は理由があり,その余の論旨について判断するまでもなく原決定は破棄を免れない。そして,更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

「婚外子」相続差別 最高裁が違憲判断
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 両親が結婚しているかどうかで子どもが相続できる遺産に差を設けている民法の規定について、最高裁判所大法廷は「社会が変化し、家族の多様化が進むなかで、結婚していない両親の子どもに不利益を与えることは許されない」と指摘し「憲法に違反する」という初めての判断を示しました。

 民法では、結婚していない両親の子ども、いわゆる「婚外子」は結婚している両親の子どもの半分しか遺産を相続できないと規定されています。
 これに対して東京と和歌山のケースで、遺産相続の争いになり、婚外子の男女が「法の下の平等を定めた憲法に違反する」と訴えて、ことし7月に最高裁判所の大法廷で弁論が開かれていました。
 最高裁判所大法廷の竹崎博允裁判長は4日の決定で、「子どもは婚外子という立場をみずからの力では選ぶことも取り消すこともできない。現在は社会が変化し、家族の多様化が進むなかで、結婚していない両親の子どもだけに不利益を与えることは許されない」と指摘し、「相続を差別する民法の規定は憲法に違反している」という初めての判断を示しました。
 大法廷は平成7年に「憲法に違反しない」という決定を出しましたが、その後、結婚や家族に対する国民の意識が変化している実情を踏まえて、18年前の判断を今回、変更しました。

 憲法違反とされたことで明治31年から100年以上続いてきた民法の規定は、改正を迫られることになります。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130904/k10014279131000.html

《千葉勝美裁判官の補足意見》
法廷意見は,本件規定につき,遅くとも本件の相続が発生した当時において違憲であり,それ以降は無効であるとしたが,本決定の違憲判断の先例としての事実上の拘束性の点については,法的安定性を害することのないよう,既に解決した形となっているものには及ばないとして,その効果の及ぶ範囲を一定程度に制限する判示(以下「本件遡及効の判示」という。)をしている。

実務上,具体的な相続開始時はいつなのかが気になるところです。
「本件の相続が発生した当時」は「平成13年7月▲▲日」となっている。
未だ解決・確定していない相続案件はどうなるのだろう?