成年後見横領:家裁に過失 国に230万円賠償命令(広島高裁)

毎日jp 

http://mainichi.jp/kansai/news/20120221ddn041040015000c.html

 交通事故で脳障害を負った広島県福山市の男性(55)が、成年後見人のめい(42)に預金を横領されたのは、財産管理能力に欠けるめいを成年後見人に選任した家庭裁判所の過失として、国に約3500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が20日、広島高裁であった。宇田川基裁判長は請求を退けた1審・広島地裁福山支部判決(10年9月)を変更。横領行為を認識しながら対応を怠ったとして国側の過失を一部認め、約230万円の支払いを命じた。

個人的感想など
2月25日(土)に後見制度支援信託のDVD研修がありました。

「親族後見人等による不正行為の実情」として,
平成22年6月から平成23年までの10か月間に,親族後見人等による不正行為の兆候を把握したことを契機として審問期日を指定した結果,不正行為が判明した事例は182件であり,判明した被害総額は18億3000万円であった。
 1年間に換算すると,218件程度の不正が報告され,その被害総額は約22億円になる計算である。
 したがって,毎月18件程度の不正が発覚し,2億円近い被害が判明していることになり,一日あたりの被害額は約600万円ということになる。

と最高裁家庭局の課長がお話ししていました。

後見人が親族に限らず,司法書士や弁護士などの専門職であっても不正行為が起こっています。

後見制度支援信託は,そのような不正行為の防止策の新たな選択肢のひとつとして位置付けられるものです。

釧路家庭裁判所では平成24年3月1日から運用開始(予定)とのことです。

■参考
NHK NEWS Web
成年後見制度“信用を揺るがす事態”
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120226/t10013289481000.html
認知症のお年寄りなどに代わって第三者が財産を管理する「成年後見制度」で、財産が使い込まれる被害が、最近の16か月間におよそ37億円に上ることが最高裁判所の調査で分かりました。
最高裁は、制度への信頼を揺るがす深刻な事態だとして、対策の検討を急いでいます。

「成年後見」は、認知症で判断力の衰えたお年寄りなどに代わって、親族のほか、弁護士や司法書士などが後見人となって財産を管理する制度です。
高齢化に伴い利用者が増える一方で、財産が使い込まれる被害が相次ぎ、最高裁判所は被害の実態を全国の家庭裁判所を通じて調査しました。
その結果、おととし6月から去年9月までの16か月間に被害の報告が314件あり、被害総額はおよそ36億9800万円に上ることが分かりました。
このうち306件は、親族が財産を管理していたケースで、1件の被害額が2億円に上るものもありました。
被害は特に去年に入ってから急増し、月平均の被害額はおよそ3億円に達しているということです。
最高裁は対策の1つとして、信託銀行などと連携した資産管理の仕組みを新たに設け、今月から運用を始めていますが、「後見制度の信頼性を揺るがすような深刻な被害が相次いでいる。後見人の指導の在り方も含めて効果的な対策を考えていきたい」と話しています。