保証契約が書面でされたものとはいえず効力を生じないとされた事例(東京高裁 19日)

平成24年01月19日
東京高等裁判所  第8民事部

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81942&hanreiKbn=04

内容

保証契約の成立をめぐる訴訟について、民法446条2項の要件について判断が示されています。

保証契約は,
書面でしなければその効力を生じないとされているところ(民法446条2項),
同項の趣旨は,
保証契約が無償で情義に基づいて行われることが多いことや,
保証人において自己の責任を十分に認識していない場合が少なくないことなどから,
保証を慎重にさせるにある。

同項のこの趣旨及び文言によれば,
同項は,
保証契約を成立させる意思表示のうち
保証人になろうとする者がする保証契約申込み又は承諾の意思表示を
慎重かつ確実にさせることを主眼とするものということができるから,

保証人となろうとする者が
債権者に対する
保証契約申込み又は承諾の意思表示を
書面でしなければ
その効力を生じないとするものであり,

保証人となろうとする者が
保証契約書の作成に
主体的に関与した場合

その他その者が
保証債務の内容を了知した上で
債権者に対して
書面で
明確に
保証意思を表示した場合に限り,
その効力を生ずることとするものである。

したがって,
保証人となろうとする者がする
保証契約の申込み又は承諾の意思表示は,
口頭で行ってもその効力を生じず,

保証債務の内容が
明確に記載された保証契約書
又はその申込み若しくは承諾の意思表示が記載された書面に
その者が署名し若しくは記名して押印し,

又はその内容を了知した上で
他の者に指示ないし依頼して
署名ないし記名押印の代行をさせることにより,
書面を作成した場合,

その他保証人となろうとする者が
保証債務の内容を了知した上で
債権者に対して
書面で
上記と同視し得る程度に明確に保証意思を表示したと認められる場合

に限り,

その効力を生ずるものと解するのが相当である。

【判例全文】
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120127142834.pdf

個人的感想など

実務上よくあると思われます。

X社がY社に金銭債権を有しています。
Y社の債務の保証人として、
代表取締役のAとその妻が連帯保証人になります。
その保証契約について
Aの妻は…

保証契約書にAの妻が自ら署名押印?
夫Aが代わってすることを了知?
X社の従業員からAの妻に電話で意思確認があった?

民法446条2項に規定する要件(保証の要式性)

保証人となろうとする者が
(1)保証契約書の作成に主体的に関与した場合

(2)保証債務の内容を了知した上で,債権者に対して書面で明確に保証意思を表示した場合