司法書士会入会時の「会館維持協力金」について最高裁判決

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81265&hanreiKbn=02

最高裁第二小法廷(須藤正彦裁判長)
司法書士会の新入会員に課される負担でその履行が入会の要件となっていないものは
特段の事情のない限り司法書士法(平成14年法律第33号による改正前)15条7号にいう「入会金その他の入会についての特別の負担」に当たらないとする判決(22日)

本件会館維持協力金が,
司法書士法(平成14年法律第33号による改正前のもの。以下「法」という。)15条7号にいう
「入会金その他の入会についての特別の負担」に当たり,
法15条の2第1項により会則に記載して法務大臣の認可を受けなければならないものであるか否かが争点となっている。

法15条7号,15条の2第1項が
「入会金その他の入会についての特別の負担」に関する規定を
会則に定めて法務大臣の認可を受けなければならないとする趣旨は,

司法書士業の公共性に鑑み,
司法書士会に新たに入会する者のみに課される負担が
司法書士業への事実上の参入規制となるのを防止することにある。

入会金は,
これを納付することが司法書士会への入会の要件となっており,
その負担が司法書士業への事実上の参入規制となるおそれが大きいものの典型といえる。

これに対し,
司法書士会に入会する者のみに課される負担であっても,
その履行が入会の要件となっておらず,
入会後にそれを履行すべき法的義務が発生するにすぎないものは,
それが司法書士業への事実上の参入規制となるおそれがないとはいえないものの,
履行が入会の要件となる負担に比べて性質上そのおそれは格段に小さいということができる。

また,会費に関する会則の規定の変更については法務大臣の認可を受けることを要しないとされている(法15条の2第1項ただし書,15条9号)のと同様に,
司法書士会に新たに入会した者を含む会員全員のために必要とされる経費等を,
新たに入会した者と既存の会員との間でどのように負担するかに関しては,
両者の間でこれを公平に負担するなどの観点からする司法書士会の自主的判断に委ねるのが相当というべきである。

司法書士会に新たに入会する者のみに課される負担であっても,
その履行が入会の要件となっていないものは,
その負担が新たに入会しようとする者の入会を事実上制限するような効果を持つほど重大なものであるなどの特段の事情のない限り,
法15条7号にいう「入会金その他の入会についての特別の負担」には当たらないというべきである。

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