遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合の遺言の効力

 「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,遺言者が代襲者等に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生じない。

 最高裁平成23年2月22日第3小法廷判決

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=81092&hanreiKbn=01

親より先に長男死亡 遺言相続、孫には無効 最高裁
日経Web2011/2/22 12:18
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E0E0E2E29C8DE0E0E2E0E0E2E3E39180E2E2E2E2

 遺言で親の全財産を相続する予定だった長男が、親より先に死亡した場合、長男の子が代わりに相続する「代襲相続」が認められるかどうかが争われた訴訟の上告審判決が22日、最高裁であった。第3小法廷(田原睦夫裁判長)は、相続を認めなかった二審・東京高裁判決を支持した。

 こうしたケースで最高裁が判断を示すのは初めて。相続予定の人が亡くなった場合に、その子らが代わりに相続することを「代襲相続」と呼び、民法で定められている。

 同小法廷は判決理由で「遺言をする人が特定の相続人に財産を相続させるといった場合、通常はその相続人に遺産を取得させる意思があるということにとどまる」と指摘。全財産を受ける予定だった相続人が死亡した場合は、遺言中で代襲相続を指示しているなどの特段の事情がない限り、「遺言に効力は生じない」と判断した。

 問題となったのは、金沢市内に不動産などの財産を所有していた女性の遺言。女性には長男と長女がおり、1993年に遺言で長男に全財産を相続させるとしたが、長男は2006年に母親より先に死亡。その後、親も死亡し、長女が法定相続分の権利の確認を求めて提訴していた。

 一審・東京地裁判決は、長男が亡くなった場合に、その子3人が全財産を相続することは、長男に全財産を残したいと望んでいた母親の意に沿うと判断。

 これに対し二審・東京高裁判決は、遺言には「長男が死亡した場合には子が代襲相続する」とは明記されていなかったことから、長女側の主張を認めた。

親の遺言により全財産を相続することになっていた子が、
その親より先に死亡した場合に、

孫が代わりに遺産を相続(代襲相続)できるか争われた訴訟で、
「遺言は原則無効となり、孫は代わりに相続できない」とする判決

ですね。

参考:遺贈の場合
民法第994条第1項
遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
第995条
遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。