司法書士の業務範囲に関する判決について

標記の件について、昨日付で会長声明が出されています。
次のような内容です。

平成21年10月16日、大阪高等裁判所において、その理由中に司法書士の業務範囲に関して判断された判決がありました。

この判決は、債務整理事件における司法書士の代理権の範囲について、債権者の主張する金額により代理権の有無を判断すべきであるという第一審の神戸地方裁判所の判断に対し、当事者が受ける経済的利益の金額により判断するという解釈もあることを確認したものです。

これは、従来からの司法書士の執務が評価されたものであり、当連合会が主張する司法書士の代理権の範囲に関する解釈が認められたものと考えています。

当連合会は、今後も司法書士法の立法趣旨に沿った代理権の範囲について会員に対し周知徹底を図り、更なる市民の権利擁護に取り組んでまいります。



日司連会員情報システム(nsr2.net)では、判決書抜粋もアップされています。

本件控訴審判決は、司法書士の裁判外の代理権の範囲に関する「紛争の目的の価額」の算定について、債権者主張額を基準とすべきとした原審(神戸地方裁判所)に対して、連合会が従来主張してきた「債務者が受ける経済的利益」を「紛争の目的の価額」とするとの解釈が成立すること及びそのような解釈に基づき司法書士の実務が広く行われてきたことを認めました。そのうえで、原審においては違法とされた任意整理業務が「違法とはいえない」(弁護士法72条に違反しない)と判断していることから、従来からの司法書士の執務が認知されたものと考えております。
 したがって、債務整理事件における「紛争の目的の価額」は、弁済計画の変更によって債務者が受ける経済的利益(残債務額について争いがある場合は当事者間の主張の差額)であるとする立場を堅持していく所存です。